2011年5月11日水曜日

原発推進サイドを割るグッドジョブ、細野補佐官(ただし20110906現在、最悪な発言をした人でした。)

おわび)この細野という人が、ただ爽やか風な政治家で中身が無く、官僚のロボットに成り下がるような人物だとは思いもよりませんでした。私の人を見る目の無さを痛感いたします。反省の意味も含めてこのままこの記事を掲載しておこうと思います。

5月10日、細野首相補佐官は東電が所有する送電網を売却することを否定しない、今後の電力供給のあり方を検討する選択のひとつとしたという。(共同、東京新聞2011.5.10.21:29)

賠償に充てるために、リストラ、資産売却に加えて、送電網売却の方向性を示唆したことになる。送電網を売却して、リストラを軽減した方が良いのではないか、ということが広く語られれば、電力会社内部の情勢も色々と分かれていく可能性が考えられる。東電内部にも上層部の対応に疑問を持つ者も全くないわけではないと考えれば、原発推進か反対かではなく、社員の生活を重視するのか、会社の既得権にしがみつき社員を軽んじるのか、という選択になる。

原発推進では一枚岩的だが、社員か社運かという選択は様々な内部議論が上層下層で起きるだろう。ある種の夢から覚めてもらうには非常に重要な会見だったといえる。


2011年5月9日月曜日

福島第一原発事故放射能汚染積算値範囲図とチェルノブイリとの比較

5月6日、菅直人内閣総理大臣の浜岡原発停止要請の合間を縫って、文部科学省から航空機によるモニタリング結果が公表された。


上記のアドレスで確認、PDFファイルを入手することが出来る。このデータを元にチェルノブイリの汚染区域と比較するとかなりの広域において、移住の必要性が出てくることになる。すでに3月28日に、京都大学原子炉実験所の今中哲二助教によって測定確認された結果から、同助教によって避難の必要性が指摘されていたが(京都新聞2011.03.28)、実際の政府サイドの測量によっても今中助教の指摘がチェルノブイリ原発事故と比較して、避難の必要性が広域に渡るということが実証される結果となった。

この事実を圧して、日本人はチェルノブイリの人々と比べて放射能に耐性があるとでもいうのだろうか、特にこれらのモニタリング結果を受けての動きは見られない。直ちに健康被害は無いにしても、5年、10年、20年の時間経過の中で、癌の発生率の増加、免疫力の低下、脳の萎縮などの発現他、先天的な疾患の発現の可能性が高くなっていくことは否めない。

チェルノブイリの汚染区域のまだら模様や広域に渡る予想出来ない場所での高濃度の汚染が予測されるので、僕の仕事においても、特に周辺山林へ出掛ける時には放射線モニタリングが出来るように測定器の必要性、内部被曝を軽減するように山林に入る時にはマスクの着用などの対策を必要とすることになりそうだ。これまで、山林に入ると土の香りを感じ、デスクワークの閉塞的な環境から開放された気分になったが、これからは、自然の山林に入ることが何処か危険と隣り合わせといった気分で入らなくてはならなくなった。将に「風の谷のナウシカ」の腐海の世界だ。フィクションではなくなってしまったが、かといってナウシカが現れることもないだろう。

文科省公開の資料を元に、Wikipediaのチェルノブイリの図と比較してみた。



線量の範囲設定が異なるために一概には言えないが、福島のスカイブルーのゾーンとチェルノブイリのオレンジ色のゾーンが大体近いゾーンといえる。80キロ圏内のモニタリングだけが公開されているので、それ以外の地域については不明である。しかしながら、チェルノブイリの図をみれば、今後、80キロ圏外、福島県外のモニタリングの必要性があると思う。

正直、文部科学省は現状維持によって、汚染地域に人々を留め、中長期の国民の保健を顧みないという選択をしているように思える。これでよいのか?

国民それぞれの判断しか、自分を守る術はなくなっている。

2011年5月8日日曜日

NHK BS シリーズ・チェルノブイリ事故25年 放映予定 メディアのひとつの流れ

NHKのBS放送にて「シリーズ・チェルノブイリ事故25年」と銘打って3本放映される予定です。

http://www.nhk.or.jp/wdoc/yotei/index.html?week=20110509

マスメディアが電力会社の既成秩序の温存と原発の利権に群がる学者、行政、企業、政治家一体となって、ここまで死の灰をまき散らしている原発をいまだ擁護し続けているところですが、NHKはようやく「命と金」「国家安全保障の根幹(民主主義の方の秩序)と既成利権的秩序」の天秤を考えねばならないという動きになりつつあるということでしょうか。その兆しのひとつの番組企画であるかもしれません。各種民間マスメディアもはやく電事連はじめ利権構造から多少也とも脱却して、勝間和代氏のようにどんどん偏向してもらって構わないのですから、如何に過去を清算し、本来の自然法との関係性において日本人が社会を正しく捉え、目先の事に捕われず、民主社会をよりよく暮らすことが出来るか多くの一般の人々が考える機会となればと思います。もちろんガス抜き的な番組にならないように。

2011年5月9日月曜深夜(火曜午前0:00〜0:50)
「永遠のチェルノブイリ」

2011年5月10日火曜深夜(水曜午前0:00〜0:50)
「被曝の森はいま」

2011年5月11日水曜深夜(木曜午前0:00〜0:50)
「見えない敵」

それ以外にも、過去放映されたチェルノブイリ関連の番組をyoutubeで確認することが出来ます。今回の福島第一原発事故は、もはやチェルノブイリを超える世界人類史上最大級の人災であり、今後、放射能汚染によって引き起こされる問題は計り知れません。しかしながら、これまで政府、東電、経産省、学者達が言うように「ただちに健康被害が起きる訳ではありません。」ということもひとつの事実です。それは但し書きとして「必ず、今後何らかの被害が5年、10年その先ずっと我々日本人が背負っていく身体的、心理的そして社会的な病理の発現」の宣言でもあります。

「日本零年」
我々は、これまで通りの日本の風土に対する造詣へ学ぶと同時に、日本史上「失ってはならないものを失った」事実を認識し、国家のあり方(安全保障)、ひとりひとりの生き方を、後々の人々のことも含めて、考え社会をつくりあげていく努力を具体的にいっていかなければならなりません。

youtubeにアップされているおすすめの動画を以下に示します。もちろん、以下に示す動画は原発への警告の番組であることは事実です。また、最後の「Chernobyl 2009」はチェルノブイリの食生活を題材にした番組で、すこし観る角度が違い、汚染地域に住むということを食生活を通してつくられたものですから、東電の社員でも少しは卑屈にならずに今後の汚染社会に生きることをイメージして観ることが出来るでしょう。

これまで原発が安全で、良いものだと言い続けて来たのは原発関連施設と電力会社の施設、広告がほとんどですし、マスメディアの広告宣伝として一方的に日常的に垂れ流されて来たことを考えれば、どちらが社会的には科学的な根拠の真義性の疑わしさなど、こうした番組画像と照らして各々が検証するのが良いとおもいます。


youtube「汚された大地で ~チェルノブイリ 20年後の真実~1_5.avi」
http://www.youtube.com/watch?v=PHeq8TfSRBM&feature=channel_video_title
youtube「汚された大地で ~チェルノブイリ 20年後の真実~2_5.avi」
http://www.youtube.com/watch?v=8hXmoNuJHKs&feature=relmfu
youtube「汚された大地で ~チェルノブイリ 20年後の真実~3_5.avi」
http://www.youtube.com/watch?v=Fgx1mcUgHnA&feature=relmfu
youtube「汚された大地で ~チェルノブイリ 20年後の真実~4_5.avi」
http://www.youtube.com/watch?v=BiFTMaApEpw&feature=relmfu
youtube「汚された大地で ~チェルノブイリ 20年後の真実~5_5.avi」
http://www.youtube.com/watch?v=ZK7T6BDiB1c&feature=relmfu

youtube「チェルノブイリ原発事故・終わりなき人体汚染1-4」
http://www.youtube.com/watch?v=4GcOF4prndE&feature=channel_video_title
youtube「チェルノブイリ原発事故・終わりなき人体汚染2-4」
http://www.youtube.com/watch?v=wk-rOLrRnx8&feature=relmfu
youtube「チェルノブイリ原発事故・終わりなき人体汚染3-4」
http://www.youtube.com/watch?v=sqG0_3jlU-Y&feature=relmfu
youtube「チェルノブイリ原発事故・終わりなき人体汚染4-4」
http://www.youtube.com/watch?v=TPGlJpQN4Kc&feature=relmfu

youtube「チェルノブイリ Chernobyl 2009 (1)」
http://www.youtube.com/watch?v=XgctnPcUTP0&feature=channel_video_title
youtube「チェルノブイリ Chernobyl 2009 (2)」
http://www.youtube.com/watch?v=aI6pNRcQu3c&feature=relmfu
youtube「チェルノブイリ Chernobyl 2009 (3)」
http://www.youtube.com/watch?v=n34ITx9qp_8&feature=relmfu

※記述分類項目を「原発を否定しない国づくり」としましたが、もちろん肯定もしません。むしろ私自身は原発は直ちに全てヤメて頂きたいと思っていますが、多くの一般の方々や原発関連事業者、これらに関わる方々は直ちに自己否定は出来ないでしょうし、そうした人々がいることも事実です。これらの人々の存在が全く無視されることも、問題ですから、あえて「原発を否定しない国づくり」としました。



2011年5月7日土曜日

被災地の現場からみえてきたもの

5月4日
宮城の内陸部と被災地を廻り、東京へ戻る途中、福島県の川俣町に立ち寄った。福島第一原発事故で、一部計画的避難地域に指定された町だ。川俣町役場へ向かう途中、野良仕事をする川俣町の年配の男性に出会った。放射線量の濃い薄いは原発の距離ではなく地形と風に非情に影響されるという。

周囲が汚染されていることを除けば、とても里山の奇麗な、そして若い堆積岩らしき少し荒っぽい摂理が特長の川の流れる阿武隈高地の麓、とても豊かな土地柄のように見える。

そのオジさんが野良仕事をする3反程度の水田は軽やかな里山を背景にうつくしく畦をつくっていた。『福島であろうが関東であろうが少なくとも3月11日以降確実になんらかの放射能汚染の影響があるだろう』そう思うと話しかけるのにすこし躊躇した。しかし、そうした躊躇もよそに、近づいて来た僕におもむろに手を 休めて「セシウムが本当にどんだけ出るか試そうと思ってるんだぁ。」と言葉を漏らした。この農地は作付け制限を受けている農地ではない。でもどんな影響があるのか自分で確かめよう としているのだ。

稲の苗床をつくる作業をしていた川俣町の農家

今年は雪がなかなか溶けなかったので作付けが遅くなる。そして
しかし今年は放射線量が米からどれだけ出るかの実験だともいう。

畦を奇麗にして水を張り、パレットを置いて、
種(米)を撒く。簡単に効率よく苗をつくるのだという。

楽観的でもなく、悲壮感でもなく淡々と、国の言うことなどあてにはできないと言う。結局は自分が確かめて自分で判断するしかない。そのために自分で出来ることやる。じつに正しい農家らしい態度だと思った。

都会の住民は未だマスメディアの論調を基準に、それが自明だと思い込んでいる。自明だと思い込んで自らは何も検証していない。ぼぉっと、テレビを眺め、テレビが安心させてくれる言葉を投げかけるのを待っているばかり。電力会社も全体像を語ることなく、少々の対処療法の報告であたかもことが安全に終息に進んでいるようなことしか述べていないのは明らかだが、それを鵜呑みにして、風評を恐れる。マスメディアの情報自体が風評なのかもしれないのに.....。それとも、実は都会の人々も気づいているのかもしれない。気づいていてもあらがえないのか....。

しかし、原発を否定しないのなら原発を肯定するなら、まず科学技術という以前の思想や倫理、人間そのものの存在について、議論が出来るところまで、考え抜いて、初めて人類、あるいは日本人の存在よりも、今の電気の方が大事と結論づけてみてほしい。それは科学者でなく原発を肯定する一般の人にも要求する。

放射能汚染は汚染前の正常な状態に戻すためには(つまり、完全に冷却されるまでに)100万年かかるという。100万年!過去にさかのぼれば北京原人が地球に現れるよりも遥か昔、今の日本の国土さえまだ形づくられる以前の話だ。未来に向かってそんな責任など誰が出来るのか?出来ないことはやってはらなない。

昨日(5月6日夜)、菅直人総理大臣が浜岡原発の全ての停止を要請した。マスコミによると所在地の市の担当者は「突然のことで驚いている.....。」と言っているそうだが、もしこれが菅首相の要請ではなく地震であったら、当然のことながら突然やってくるのだから、やはり「突然のことで驚いた。」とでも言うつもりなのだろうか?実に愚鈍で、愚かな反応だ。ましてや今はまだ福島は放射能を出し続けている訳だし、全く無関係に無関心でいたとしたら、危機管理の担当者として責務が果たせていないとしか言いようがない。もっとも、民主党の石井一という国会議員さんは災害対策副本部長であるにもかかわらず、この時期フィリピンでゴルフに興じていたと言うから、国会議員でもこの程度であれば、地方の職員ならばその程度ということか.....そんなことはないしっかりとした地方公務員もいるはずだ。街頭インタビューでも「電気がないと困る」とか「唐突ですね」などと答える人間がいることにも驚かされる。これもマスコミが原発推進寄り故に選んだインタビューだとも思うが。

愚痴を言っていてもしょうがない。みなそれぞれが、しっかりとした情報を得る努力を怠らず、真摯に後後の人々のことも考慮して、利便性よりも、国、生活の存続の是非が問われていることを自覚していくしかない。

川俣町役場にたどり着くと、庁舎は地震の被災にあっており、仮庁舎を近くの保健センターに構え運営されていた。飛騨市の災害対策支援室から来た旨を伝え、古川町長に面談することが出来た。飛騨市災害対策支援室の中畑室長は川俣町の古川町長と古くからの縁があるということで、中畑室長からの古川町長の労のねぎらい報告と計画的避難区域に指定された町内等の農家に対する飛騨市での仮就農支援について簡単に説明させて頂いた。町長にしても地元を離れさせたくない、当事者の農家の方々にとっても離れたくない、ということは十分に察せられるが、極力多くの選択肢をもっていただき、多少の希望の範囲を膨らまして頂ければという提案である。色々と住民説明もあり忙しそうではあったが、昔の中畑室長とのことを懐かしく語られ、にこやかに提案について感謝の言葉をいただき町長室を後にした。

明るく執務をこなされていたが、この町は原発の恩恵なんて全く
ないのだから.....と言いながら、忙しく電話に対応する古川町長

この役割は、自分的に如何ほどのものかという気もしたが、出来る限りのアプローチを福島の人々に出来たらと思うので、駄目もとでもやれることはやっておこうということなのかもしれない。そう自分に言い聞かせた。

被災地を訪問し、幾つかの企画を立てて返って来た。その事を「いちぐう」の編集長永田麻美氏に「ジアスニュース」のインタビュー記事にしてもらった。以下の記事をお読み頂ければ幸いです。