2015年8月13日木曜日

土祭2015 「益子の原土を継ぐ」展示 / 記録 検討会

土祭2015 「益子の原土を継ぐ」展示についての検討会
2015年8月11日、8月12日

2015年9月13日より15日間開催される「土祭2015」。
栃木県芳賀郡益子町は陶芸の町として知られています。窯業の歴史は古墳時代からといわれ、近年の窯業の始まりは大塚啓三郎によって嘉永5年(1852年:第12代徳川家慶の時代、ロシア船が下田来航するなど、江戸後期の明治開国に向けての社会変革が少しずつ見られるようになり始めた時代)に窯が築かれたことに由来します。

展示前の最終打ち合わせを行いました。
展示内容についての確認と展示説明の表現についての確認を中心に意見を伺い、その後、展示現場で、展示の仕方などについての調整を図りました。

ほぼ打ち合わせ終了し、ざっくばらんな雑談の様子。陶芸メッセにて(8月11日)


作家の方々と展示会場で実際の展示を検討する
(陶芸メッセ内の旧浜田庄司邸にて)


展示計画で利用する展示台などは地元のものを資材として使うことを基本にしています。

作家の方々との打ち合わせ終了後、展示のための資材である麦藁(地元の橋本さんから頂いた)の確認のために保管場所へ。保管場所である町の廃校校舎へ、展示計画のマネージメントをして頂いている萩原氏とスタッフ、学生らとともに行き、しつらえ方の検討を行いました。


益子周辺では麦が多く栽培されています。麦藁は稲藁よりも
よく土へ戻り養分となるため、農業資材としても貴重な材料
でもあります。益子を代表する農作物の一つですが、稲藁と
の違いがわかるでしょうか?パッと見ではわからないかも。



翌日(12日)、もう一つの展示資材である杉材を地元太平神社へ。
太平神社の山で間伐された杉材を使わせていただくということで、前回伐採状況を確認しましたが、今回は実際の大きさかたちを決めて、サンプルを切り出し、その扱い方を確認しようということです。

当日、現場には、陶芸家でもある菊池さんが間伐の作業をされていて、我々の作業を少しお手伝いいただきながら、窯業に使う薪の話など伺うことができました。

窯業の薪は、基本的にはマツ(この辺だとアカマツ)を使っていたそうで、雑木(コナラやミズナラなど)の薪は使わないということでした(スギは多少使うらしい)。それはマツ材が燃えて炭から灰になるその瞬間に温度が上がりその温度上昇速度がマツが最も早く、窯の炎の制御に最も適していることが理由だということでありました。
他にも、窯への薪の放りかたなど、人の関わる仕事の難しさや面白さを菊池さんから伺ったのでした。菊池さんは加茂田章二(※1)に憧れて50年ぐらい前に益子に移り住み、今は個人で活動されているそうですが、塚本製陶所(※2)で働いていらした時代があったそうです。

太平神社の山で話を伺うスタッフ(右:菊池さん)

展示資材を斧で切り出す作業

その後、陶芸メッセに戻り、地元大工の高田さんと展示のための幾つかの造作作業についての打ち合わせをしました。余談ですが、高田さんのバンは、つい最近テンプラ油で走行できるハイブリットカーに改造されたそうです。益子の特徴は、イベントで、エコとか地域づくりを言うのではなく、祭から日常の中で、それぞれがエネルギーや自然との調和を実践する暮らしを築こうとしている若い方々が数多くいらっしゃるところです。そして数多くの年配の方々の知恵、歴史。土祭を通じてさらに地域の意識を深めていきたいものです。


高田さんと高田さんの車


開期  :土祭2015期間中 8月13日〜28日(「益子の原土を継ぐ」展示は土祭2015期間中の展示です。)
主催  :土祭実行委員会
共催  :益子町
展示会場:陶芸メッセ内
参加作家:阿久津雅土(陶)、岩下宗晶(陶)、岩見晋介(陶)岩村吉景(陶)、大塚勝­一弘(陶)、大塚誠一(陶)、加藤靖子(絵画)、加藤弓(陶)、川崎萌(陶)、川尻琢­也(陶)、郡司慶子(陶)、近藤康弘(陶)、庄司千晶(陶)、白石博一(左官)、菅谷­太良(陶)、鈴木稔(陶)、中村曙生(染織)、中村かりん(陶)、萩原芳典(陶)、古­田和子(日本画)、宮沢美ち子(染織)、宮田竜司(陶)、村澤亨(陶)、若杉集(陶)
企画運営担当 :萩原潤(益子の原土を継ぐ」展示企画運営担当)
土祭広報担当 :仲野 沙登美
展示造作 : 高田英明 他
展示協力 :菊池さん(丸太加工)
      太平神社(丸太提供)
      橋本晧郎(麦藁提供)
展示計画  :田賀陽介、渋谷隆太
展示計画助手:笠原隼也、庄司はるか、成田千里(イラスト)、他

出品作家のプロフィールは以下のHPで紹介されています。
http://hijisai.jp/blog/tsugu/tsugu1/

2015年8月7日金曜日

箱根の現在進行中の現場記録 2015.08.04

2015年8月4日、箱根仙石原
箱根の仙石原温泉荘は、いつになく閑静である。
大涌谷の小規模噴火のお陰で取泉口というのか、温泉の取り出し口が壊れてしまって、温泉荘一体(温泉供給公社の供給しているお湯を使っているところ)は皆、温泉が出なくなってしまい開店休業。一般入場できるのはグリーンプラザぐらい。他の施設は皆、窓を開け、戸を開けて、施設に湿気がたまらないようにするといった開店で、営業はしていない。箱根は本当に空気中の水分量が多く、いわゆる多湿な気候環境で施設を締め切っておくことができないのであります。人の出入りがなければすぐにカビが生えてくる、そんな環境なのです。

DNP近くの現在進行中の箱根現場へ向かう。その道中は、日頃の混雑がほとんどなく快適でした。建築がだいぶ立ち上がってきたので、足場や建築本体の屋根などに既存樹木がどの程度被っているかをチェックしに伺ったのでした。

自然の落葉広葉樹林をできるだけ残すという考えで、建築設計者である津野氏、施工業者によく配慮していただいて建築施工を進めていただいているこの現場は、施工ぎりぎりの段階まで、樹木を保全してもらいながら、どうしてもここはというところを協議して枝を打ったり、伐採したりという、丁寧な仕事の仕方をしています。

こんな仕事の仕方ができるのは、工期も含めてお施主さんからの理解のおかげでもあります。樹木の寄った状態での現場の風景はなかなか他では見られない。




15メートルクラスの木々が中庭に残される、中庭といって
外部と遮断されることなく、水も空気も中庭を通り抜け、
木々の環境が急激に変化しないように配慮している。

図のように建築のために伐採した時にどの程度樹冠が開放される
のかを実際に樹冠を実測して確かめる作業を行う。(太い赤線の
内側が伐採によって開放される部分。実測して図化して示し、
の度合いを検討している。実際には、もう少し伐採をして、
に樹冠を開放することになった。)            






建築際の樹木。根の張り具合を確かめて出来るだけ生かすようにして
いる。この場合は、根が傾斜上方に向かって樹木全体を引っ張るよう
に根が生えている。樹種がオオモミジなので粘りもある樹木と考えこ
んな近くでも、出来るだけ残すということで工事が進められている。


これは建築の壁の一部、叩き仕上げでなかなかの存在感で
自然の表情とバランスが良さそうだ。


建築工事の前段階で、準備工と称して、現場で枝葉や幹、石材を採取しており、現場の空いているところに積み上げられている。この自然素材の並びと仮設足場との風景もとても独特な印象であります。外構工事は来年本格工事になりますが、少しずつ整備の準備を進めていくのでありました。

粗朶利用のための細枝

基礎工事から産出された石、石積みに適し
た手頃な石を仕分けして集積しています

薪棚もつくっています

2015年8月6日木曜日

2015年8月4日 箱根創発の杜DNP研修センター記録

2015年8月4日、箱根仙石原 箱根創発の杜DNP研修センター

昨日、箱根DNPの不定期観測に伺いました。
箱根は、周知の通り、大涌谷の小規模な噴火があり大涌谷近辺の立ち入りが制限されています。立ち入り禁止区域はすぐそこ、といった地区ではありますが、現状は穏やかですし、地形的には大規模な噴火でない限りは被害の及ばないと考えられる区域です。
しかしながら、一帯は大涌谷源泉からの鉱泉の供給をしている施設がほとんどな為に、グリーンプラザホテルが営業をしていましたが、宿泊施設は開店休業といった状態で、創発の杜も一般宿泊は営業を休止している状態でした。

そんなわけで箱根仙石原付近の人の活動は、例年より少なく静かな観光地といった感じでしたが、我々が関わらせていただいている研修センターの緑は旺盛な繁殖をみせていました。

アプローチや人の動線は管理の方々にお話しして適度な刈り込みでの管理をしていただいていたのですが、昨年一昨年と少々ススキの立ち枯れが気になっておりました。6、7年は放置状態(もちろん、モニターリングをしつつ施設利用に支障のないかたちで管理者の方々と相談しつつ)で構わないと考えておりましたが、見栄え的に気になっていたところでした。

しかし、今年の夏に入り、樹林の中間層が非常によく育ち、ススキの様子も気にならなくなっています。




フロンティアの樹木、ヤシャブシ、ウツギ、タラノキらが2.5〜3メートル程度に育ち、それに混じって、ウリハダカエデ、マメザクラ、エゴノキが人丈程度に育ってきています。また、次世代種のヒメシャラなどの成長も見られました。草地状態で優勢だったススキが目立たなくなり、草地状態から樹林化の初期段階に入った感じです。

昆虫の姿も見られ、我々が想像していた以上の自然度の高い多様なビオトープ環境が形成されつつあります。

シオカラトンボのメスの産卵行動(中央、黒と黄色の模様をしたメスが見られる)

シオカラトンボのオス(中央やや左、灰色のがオス、メスを守るようにしてホバーリンググしていた)

敷地の薄い排水経路が自然の水路、湿地となっていた

水辺のビオトープ化した水の流れの様子を踏査する

湿地化した流れの様子、少量ずつ水が動き、適度な水質環境をつくっている

2011年の様子から、動植物の関わりの頻度が高くなっていることが感じられ、そしてずいぶんと景色が変わってきていることがわかります。

以下、2011年竣工後数ヶ月後の様子。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=699504840136694&set=a.119884838098700.30773.100002315526822&type=1&theater

ミカントゲコナジラミ

2015年8月4日

久しぶりに帰ってみると、玄関脇のヒサカキにミカントゲコナジラミの幼虫と蛹が大量に発生していた。ミカントゲコナジラミって、何なのか、全く分かっていないが、とりあえず、木酢液を散布してようすを見てみることにした。




以下、参考

防除ハンドブックシリーズ
http://www.boujo.net/handbook/newhandbook2/ミカントゲコナジラミ-5.html

被害

成虫は体長約1.4mmで前翅は黒色で白紋がある。ふ化幼虫は淡黄色で定着後に黒色となる。幼虫や蛹は多数の刺を有し、つやのある黒色で周囲は白く縁取られている。成・幼虫が葉裏に寄生し吸汁加害する。幼虫は大量の甘露を排出し、これが葉や果実に付着し、すす病を発生させる。

発生

3齢幼虫と蛹で越冬する。成虫は5月中旬~10月下旬に合計4回発生する。成虫の寿命は数日で短い。新葉の裏に寄生し産卵する。近年の発生はごく一部の地域に限定されている。

防除

幼虫発生最盛期の5月下旬や8月下旬などに登録薬剤を散布する。有力な天敵(シルベストリコバチ)が定着しているので、保護に努める。

薬剤(農薬)

アプロード、アルバリン、スタークル、ハチハチなど。