隣の家のアキラさんがタヌキ欲しいか?とやってきたので、見に行ってみると罠にタヌキがかかっていた。
畑にカラスが啄みにやってくるので罠を仕掛けていたそうだが、うれきったキュウリにタヌキが手をつけてかかってしまったようだ。
タヌキの捌き方は知らない。村の知っている人に聞いて捌くことも出来るかと思ったが、今回アキラさんの畑でタヌキが悪さをしたわけでもなかったし、分福茶釜みたいな恩返しもあるかもよ(分福茶釜はいわゆる単純な恩返しものの御伽話ではないと思ったが)、と言って放してやる事にした。
鍬とスキを使って噛みつかれないようにタヌキを押さえつけて罠を外した。最初は猛烈に暴れたタヌキも直ぐに観念して落ち着いたところでグッと罠のバネを外した。もう前足はちぎれそうなぐらいだったが、治療することもできなかったし、外した途端、外れた一瞬の間を置いて向こうの畑にタヌキは逃げていった。
前足が自然に治癒するとも思えなかったし、治癒してもびっこ足でどれだけ生きられるのか、畑の畝に見え隠れしながら視界から消えてゆくタヌキの背中を見守りながら、山の中で生きる彼らの厳しさをおもうと、被害に遭われた人々の悲劇を差し引いても、クマを恐れる人間の今の話題すら人間の欺瞞に思えてしまう。
それでも農作物がやられれば、コノヤロウ、と思ってしまうだろうし、実際に自分が直接クマに襲われれたら自然の摂理だと受け入れることができるわけでもない。被害と対策がどうといった話では割り切れないことを少なからず実感したのでした。

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