2021年9月27日月曜日

《里山考 その3 耕作地》

《里山考 その3 耕作地》
山間部の耕作地は、集落の高齢化によって人出が少なくなり、年々放置耕作地や休耕田が増えています。まだなんらかの形で今後耕作を再開する可能性がある場合は管理休耕田として基礎自治体などから管理費が出て、草刈りなどの管理を行っています。しかし、管理費が出ても高齢化や少子化で体力や気力が続かず放棄せざるおえない事もあります。
では、放置または放棄された耕作地はどうなってしまうのかというと、例えばある水田でいうとヨシが繁茂し、ヤナギなどが生えてきます。そして、土砂や枯れ落ち葉や枝が溜まり、ある程度乾燥が進んだりすると、そこから落葉広葉樹林になってしまいます。

体力が続かなくなり米作りが難しくなり、管理休耕田にして草刈りをしているという
福島県只見町布沢(2021.09.26)

ヨシが一旦繁茂すると、水田跡に地下茎が縦横無尽に張り巡らされ、何年刈ってもヨシが絶えない状況になってしまい、さらに水田の止水層が破られて貯留機能も失われてしまいます。樹木が生えてしまえばもちろん根株を取り除かなければなりませんし、止水層を復旧する必要があり、使える水田に戻すには相当な労力が必要となってしまうというわけです。



昭和44年に廃村した集落の水田跡。ヨシが人丈以上に伸びている。
道路部分は刈り払いをおこなっているが、周囲の状況から沢水が道路に
平場に滞留しぬかるんでいるため刈り払いをやめてしまえばすぐに道路
もヨシ原になってしまう。数年前に何度か刈り払いをおこなっているが
ヨシ原に戻ってしまった。
福島県只見町布沢((2021.06.25)

今は、非効率な水田での米作は割りが合わず、買う米の方が安いという状況も起きつつあります。しかし、地域の食料自給(食の安全保障も含めて)や物の移動(車などの燃料費)の軽減を考えれば、地産地消による農業を持続させていく事が重要なことでもあります。


放置状態の水田の模式図
管理休耕田で刈り払いを行っている状態の水田

使わないにしても、理想的には水田だけでなく周囲の環境も含めて
保全することが望ましい






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