2010年11月10日水曜日

ツルシキミ

11月10日、仕事で箱根に調査に出掛けた。
調査した付近の雑木林の林床にヤブコウジに似た赤い実をつける常緑の葉がちらほらと見えた。

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葉の縁に鋸歯(ギザギザ)がないのでヤブコウジではない。ほかに地に近く赤い実をつける植物というとセンリョウ、マンリョウなどがあるが、いずれも鋸歯があるのでこれも違う。
葉を一枚もぎ採り、葉を透かしてみると油点がみえる。

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油点はミカン科の植物の特徴だ。クシャクシャと葉を揉んで匂いを嗅ぐと、柑橘系から化粧香にグラデーションする。あきらかにミヤマシキミかツルシキミに違いない。
枝は直立せず地面を這っている。そして、あまり枝分かれしていないところをみるとツルシキミとみて間違いない。仏前や墓前に備える植物としてサカキやシキミがよく供えられるが、本種ツルシキミまたはミヤマシキミを尊ぶところもあるという。たしかに香りならサカキやシキミよりも本種を選ぶということもなんとなく頷ける。

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箱根ではちらりほらりと見かけるだけであったが、四国、阿讃山脈(讃岐山脈)山頂付近ではシデの林内にツルシキミが群生する。(下の写真は群生するツルシキミ、040602大滝山・高松市)

(2006.11.19記す)

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