2010年5月13日木曜日

麻婆豆腐


森のボランティアに参加して、時々大磯で山の手入れをしているのだが、先日、一緒に草刈りをしている杉山先生から麻婆豆腐の所以を聞いた。杉山先生を「先生」と呼ぶのは、大学でアジア文化を専門とする先生らしいからだが、詳しい事は伺った事がない。
汗をかきかき草刈りをしながら雑談で麻婆豆腐の話しになったわけだ。

「麻婆豆腐」というのは、もともと「馬婆豆腐」だったのだという。つまり、「馬(マー)婆さんの豆腐」ということだ。それが、何時の頃からか「麻(マー)=辛いもの」という字に置き換わったのだそうだ。ウィディペキアによると清の時代、四川省成都の陳森富の妻、劉氏によって考案されたもので、「麻婆」とは「アバタ顔の婆さん」ということらしいが、どちらの説が正しいか興味のある人はもっと調べてみてください。

さて、その「マー婆さん」は何れにしても実在の人物で今でも四川にあるマー婆さんの店は続いているという。多分、マー婆さんはとっくに亡くなっていると思うが、麻婆豆腐発祥の店で今でも元祖の麻婆豆腐が食べられるそうだ。杉山先生はその店で食べた事があるそうだが、随分と辛いものらしい。たしかに四川の料理は基本的に辛い。一般的な日本人には、あまり好まれないかもしれない。

その昔、貧乏な若者や労働者達に、腹一杯に美味しいものを食べさせてあげたい。そう思ってマー婆さんが、あり合わせのもので作った料理だという。基本的には、ご飯の上に調理された具材がかかったものだそうで、日本人にとっては「麻婆丼」と言った方が良いかもしれない。

その夜、麻婆豆腐をつくってみた。四川の麻婆豆腐はかなり山椒が利いているという事なので、本場感を味わおうと目一杯限界と思われるぐらい山椒をいれてみた。いやぁー、シビれるぅー。まずこの味は、他人には提供できないぐらい痺れた。

しかし、自分の舌を痺れさせながら、中途半端な調味では分からない事が分かった気がした。舌が痺れて、「甘い」とか「辛い」「しょっぱい」といった味覚がわからなくなってくる。そのかわり「うまみ」みたいな味わいが妙に際立つ。普段、山椒をちょっと振りかけて「香り」だのちょっとした「辛味」だのが良い等と言われたりしているが、それでは本来の山椒の醍醐味はわからないものだ。その神髄は強烈な旨味への誘導だったのだ!「舌の感覚を麻痺させて旨味部分に舌を集中させること」だということなんじゃないか!山椒の辛味は唐辛子や胡椒とはちょっと違うことは周知のことだが、蒲焼きや焼き鳥以外に隠し味としてもっと使ってみてもよいのでは!という発見に、その日僕は多いに満足した。

ちなみに、その日の麻婆豆腐の材料は、ネギ、豆腐、ショウガ、ピーマン、豚挽肉、胡麻油、塩、胡椒、豆板醤、山椒、というもの。ピーマンは唐辛子っぽい食感を足すため、水解き片栗粉は割愛、レシピを確認せずに適当な食材を用意してみた。(麻婆豆腐 2008.6.24記述)

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