2010年4月21日水曜日

エリンギ

エリンギ
[2005年06月03日(金)記述]


最近出回っているエリンギというキノコ。
なかなか、歯ごたえもあって、味もあり美味しい。もとはイタリアのキノコという。

エリンギ / 田賀陽介筆


イタリアのキノコの多くは北イタリアが中心だそうだが、エリンギはイタリアの南部で自生するキノコだそうである。もちろん日本で市販されているものは自生ものではなくて栽培ものであるが、もともと野生のものはプーリアとかバジリカータとかの南部の山々一体に若葉がふきはじめる春先木立の足下、枯葉の合間からニョキニョキと生えてくるものらしい。

向こうではカルダレッロとかカルドンチェッロとよばれる。イタリア料理人の田中氏に聞いたら、カルドと呼ばれるキク科アザミ属の植物があって、そのカルドが枯れたあとに出回るキノコということでカルドンチェッロという名前がついているらしい。エリンギは学名。

最近はどうか知らないが、ヨーロッパでは日本ほどキノコを食べなかったそうだ。その中でイタリアだけはローマ時代から食されていたらしい。このエリンギも古代ローマから食されていた伝統の食材ということだ。

ちなみにカルドはその茎を食べる。野生のアザミを品種改良したもので茎の部分はちょっとセロリに似ている。アザミといえばゴボウである。そう、ゴボウは日本で食べるアザミ属の代表的植物である。野生のものはモリアザミ(牛蒡薊)、ハマアザミなど根を食用にする。ノアザミなどは根を乾燥させて神経痛や利尿の民間薬にしたり、若い根生葉は煮て水にさらし和え物、浸し物にする。日本でもなじみの深い植物種である。山に入るとヤマゴボウと呼ばれる植物があるがこちらは毒なので間違わないように、我々が普段食卓で口にしているのは「ゴボウ」とよばれるアザミなのである。

話は、エリンギにもどり、日本ではいくつかに刻んでバター炒めなどにするのが一般的なような気もするが、やはりイタリア南部原産のエリンギ茸はぜひとも、まるのままもしくは大きいものは半割にして、オリーブオイル、パン粉、ニンニク、パセリを混ぜたものを、エリンギ茸にかけてオーブン焼きして、塩、胡椒で食べてみたい。

南部イタリアではバターをほとんど使わないから、現地に近い食べ方といえる。現地に行って食べるのが一番いいが、たまに原産地の食べ方で味わってみるのもいいと思う。(文責:田賀陽介)

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